代々木公園のケーキ・カフェ「アフターアワーズ」

日々是好日

日々是好日
窓拭きの頃、だいぶかわいがってもらった元請けの社長さんがいました。四谷の雑居ビルにある質素な事務所には、そこで働く掃除のおじいさんや掃除のおばあさんが休憩していて、その奥の机の所に社長はいます。高度経済成長に掃除屋としての「いい時期」を経験しているのにも関わらず大げさなところがない親方的な人。噂では千葉の方に大きな家を建てたそうで、おそらく70歳位でもうとっくに引退しても良さそうなんですが、引退すると働くおじいさんやおばあさんが食えなくなってしまうことを考えて閉めずいると聞きました。朝早くから仕事を始めてお昼過ぎには終えて、他のおじいさんやおばあさんが仕事を終えて全員帰ってから夕方には事務所を閉めて社長も帰る。

アルバイト時代の「どうしようもなかった」私もかわいがってくれたので、私は社員になってからも近くに用事があれば社長のところに遊びにいっては、仕事の相談に乗ってもらっていました。いよいよ窓拭きを辞めるというときにも「その方がいいだろ」と一言で送りだしてくた。転職して一年位たってからその四谷の事務所に行くと、違う表札が出ていたので「なんとかやってます」と伝えることができないままになっています。その社長の席の上には額に「日々是好日」とあって、会社の名前も「是好ビルメン」。その意味を知ったのもずいぶん後ですが、そんな優しい名前がついた掃除屋は他に知りません。車で四谷を通るたびにあの社長を思い出す。

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