代々木公園のケーキ・カフェ「アフターアワーズ」

中銀カプセルタワー

建物の場合にオーナーが変わって最初にやることは、お金の流れの見直し、そして経費の削減。「清掃費」が真っ先に削られます。毎日来ていた掃除のおばちゃんが週3回になり、週1回になります。毎月だったガラス清掃は隔月になり半年に1回になります。おばちゃんが毎日来ていた時は、月曜日について汚れは火曜日にはきれいになってますが、週1回になると次の月曜日までの1週間汚れっぱなしなんてことも。その1週間に何人のお客さんがオフィスに訪れて「あ、汚れてる」と思うことでしょうか、1ヶ所だけ汚れてるなんてことはないでしょうから「汚れてる」と思われる確率は上がります。

そのうち汚れてるのが当たり前になり、壊れてるが当たり前になり、さあ大規模修繕だとなりますが、掃除をしない建物の大規模修繕のスパンは短い。

掃除というのは簡単にやめられます。
続ける意志を持続されるのは大変ですが、その差は大きいんですよ。

2006年6月20日 Afterhours再録
建物百景・オフィス千景

2003年頃の約1年間、私は二ヶ月に1回「中銀城山ビル」というビルのガラス清掃を担当していました。
11階建てのそのビルの屋上からロープを地上まで垂らして、上から順番に窓を拭いていく仕事です。
この「中銀城山ビル」は2階部分で隣のビルとつながっているんですが、その隣のビルがあの「中銀カプセルタワー」でした。

その「中銀カプセルタワー」がどれくらい重要な建物かしりませんでしたが、外国からの旅行者がよく立ち止まって下から見上げていたので、ガイドブックに載るほどの有名なものだという位は分かりました。

ただ、下からではなくて、正面からでもなくて、同じ目線で見るタワーの裏側を見ている者としては、「重要」ではなくてに近寄りたくない建物だったんです。

「中銀城山ビル」の屋上に上ると「中銀カプセルタワー」が目の前、目の下に見ることができました。

カプセルとカプセルの隙間は、長い間メンテナンスされていないので、土砂がたまり、そこに雨水がたまっています。さらにそこにハトが巣を作って糞がたまり結構な匂いになります。雨の日の後はもちろん、晴れていてもその溜まった雨水&糞が上からタワーの隙間をずっと流れ続けていて、タワーの土台になる2階の屋上はいつもドロドロの沼状態です。
11階から窓を拭いてきた私たちは、その泥沼の中に着地しなければいけません。それを何度も繰り返します。つらい。首都高を挟んで向こうに見える「電通ビル」が余計に素敵に見えたものです。

そんな仕事を通じて11年間でたくさんのビルやオフィスや住居を見てきたんですが、人生いろいろです。汚す人もいれば、キレイに使う人もいます。M美術大学も3年くらい仕事しましたが、12号館にはごみ屋敷のような教授部屋もあれば、スカっとした教授部屋もありましたし。
そうやって毎日の仕事で、建築やオフィスの進化や、社風の違いや変化、使う人の変化までを見れたことは今となっては良かったかなと思っています。

まるで「家政婦は見た」みたいな話になってしまいました。

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